縁付け金箔(手造り金箔)と断ち切り金箔(量産金箔)のちがい
縁付け金箔(手造り金箔) | 断ち切り金箔(量産金箔) | |
製法のちがい | 手すきの雁皮紙を約半年間の手間暇をかけて仕込んだものを金箔打ち紙に用いるという、古来よりの製法で造られた純金箔です。 | 特殊カーボンを塗布した硫酸紙(グラシン紙)を金箔打ち紙に用いて造られる純金箔です。 |
工程・特徴 | 金箔打ち紙によって金箔の品質が決まるともいわれ、職人は、丹精して紙を仕込みます。打ち上げられた金箔は、革板の上で一枚ずつ枠をあて裁断され、一枚ごとに和紙(間紙)に移して仕上げられます。伝統的な熟練技から生まれます。 | 紙仕込みや金箔打ちに手間をかける縁付け金箔に比べて、短期間で金箔打ちができます。打ち上げられた金箔は和紙(間紙)と交互に重ね、約1800枚をまとめて縁を断ち落として仕上げられます。効率的に量産できるため、近年では主流になっています。 |
歴史 | 日本では約1200年以上前 金沢では約400年前から製造 | 昭和40年頃から製造 |
色落ち | 色落ちしない(歴史が証明) | 歴史がないので将来的に不明 |
風合い | 和紙模様の微妙な凹凸あり | ピカピカで平坦 |
透かして見る | 溶けて均一な広がり | 多少むらがある |
化学薬品の使用 | 使わない(柿渋や卵など自然素材のみ) | カーボンなど |
箔打ち紙の製作期間 | 数ヶ月かかる | 2~3日 |
工程の数 | 多い(断ち切り金箔の10倍近い作業量) | 少ないので作業が早い |
金箔打ちの作業時間 | 10時間程度 | 2時間程度 |
工賃 | 高い(断ち切り金箔のおよそ7倍) | 安い |
金箔1枚単価 | 高い(断ち切り金箔の約2.4倍) | 安い |
主な用途 | 高級仏壇、屏風、国宝の修復等 | 量産仏壇、工芸品等 |
金箔の押し方 | 天然漆による金箔押しに適している | ブラックなどの漆代用による金箔押しに適している |
当店の使用箇所 | 主要部分(板全般、中の部分) | 小物(屋根、彫り、彫刻、障子組子、天井、高欄) |
量産メーカー | 使用しません | すべて断ち切り金箔を使用 |
総合評価 | 伝統的工芸品として高級品 | 汎用素材としての普及品 |
監修:(株)中村製箔所
金箔といっても製法のちがいにより、伝統的製法の縁付け金箔と量産可能な断ち切り金箔に分けられます。当店では、縁付け金箔の良さを十分認識しているので、お仏壇の主要な部分に使用しています。もちろん天然漆で金箔を押していますので、ピカピカせず、落ち着きのある金閣寺のような縁付け金箔本来の黄金色に輝きます。他店を見てこられたお客様で「金箔は、ピカピカするから金粉にする」という方がいらっしゃいますが、当店の金箔をご覧いただくと、金箔本来の色艶に満足していただいています。
金箔の純度による種類
名称 | 純度 | 縁付け金箔(手造り金箔) | 断ち切り金箔(量産金箔) |
純金箔5毛色 | 金 98.91% 銀 0.49% 銅 0.59% | 当店の伝統的工芸品やお洗濯のこだわりコースのお仏壇の主要部分に使用(板全般、中の部分) | 当店の伝統工芸品やお洗濯のこだわりコースのお仏壇の屋根、障子組子等に使用 |
純金箔1号色 | 金 97.66% 銀 1.35% 銅 0.97% | 当店の伝統的工芸品やお洗濯のこだわりコースのお仏壇の主要部分に使用(板全般、中の部分) | 当店の伝統工芸品やお洗濯のこだわりコースのお仏壇の屋根、障子組子等に使用 |
純金箔2号色 | 金 96.72% 銀 2.60% 銅 0.67% | 当店では、使用していません。 | 当店では、使用していません。 |
純金箔3号色 | 金 95.79% 銀 3.53% 銅 0.67% | 当店の仏壇組合合格壇や梅花やお洗濯の標準、おすすめコースのお仏壇の主要部分に使用(板全般、中の部分) | 当店の仏壇組合合格壇や梅花やお洗濯の標準、おすすめコースのお仏壇の屋根、障子組子等に使用 |
純金箔4号色 | 金 94.43% 銀 4.90% 銅 0.66% | 当店のお洗濯のお値打ちコースのお仏壇の主要部分に使用(板全般、中の部分) | 量産の仏壇、普及品の仏壇のすべてに使用 |
純金箔でも、純度のちがいで上記のような種類があります。純金箔5毛色が、一番品質に優れています。(注:最近、金100%の純金箔を製造しているところもあります。)
金の純度が増すほど、金の色が赤く感じ、逆に純度が低くなるほど、金の色が青白く感じます。
金箔には、製法によって2種類、純度によって5種類あり、10種類の組み合わせがあります。(例:縁付け金箔1号色)
当店では、お値段によって、純度のちがいはありますが、お仏壇の大事なところには伝統的製法の縁付け金箔を使用しています。もちろん天然漆で金箔を押しています。
金箔の押し方の違い
天然漆での金箔押し | 代用液での金箔押し | |
成分 | 金箔押し用天然漆をそのまま使用 | Zブラック(商品名)などをホワイトガソリンでうすめて代用液をつくる |
乾燥 | 温度25℃・湿度80%で24時間以上 むろ(密閉された物入れ)に入れ、しっかり乾燥させる | 自然乾燥で徐々にゆっくり乾燥 季節にもよるがしっかり乾くのに、48時間以上かかる |
はげやすさ | 乾くと密着が良くはげにくい | 比較的はげやすい |
色艶 | 落ち着いた金箔本来の色艶が表現される | 比較的ピカピカした色艶になる |
金箔押し技術 | 漆の調合や漆ふき取り具合など熟練した技術が必要 | 比較的手軽に金箔を押すことが出来る |
主な用途 | 高級仏壇、屏風、国宝の修復等 | 量産仏壇、工芸品等 |
相性 | 縁付け金箔と良い | 断ち切り金箔と良い |
金箔押し工程数 | 多い | 少ない |
金箔押し代金 | 高い | 安い |
金箔押しの割合 | 希少価値あり 小売店にはほとんど展示していない | 大多数のお仏壇が使用 現在一般的な金箔押し方法になっている |