浜壇を洗浄してご納品。浄土真宗本願寺派、米原市のお客様

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日本を代表する産地彦根で、こだわりの手造り仏壇を製造しております、井上仏壇の井上昌一と申します。

米原市にて、中古品の浜壇を洗浄し、新品同様にきれいにしてご納品させていただきましたのでご紹介いたします。

浜壇 洗浄納品 浄土真宗本願寺派 米原市のお客様

20年ほど前に、地域の山車を修理させていただいたことがありました。今回のお客様はその時に役員をされていた方で、このたびお仏壇のことで当店にもお声かけいただきました。お持ちのお仏壇が古くなり、お年忌にあわせてお洗濯や修理をしたいとご希望でしたので、まずはお見積りのためご自宅へ伺いました。

当店のお仏壇の「洗濯」は、すべて持ち帰って一旦分解し、悪くなっているところを修理したり交換したりして、部品もひとつひとつ洗浄し、全体の漆を塗り直しすべての金箔を貼り替え、また組み直すという作業内容になります。一方、「洗浄」は活かせるところは活かしてお仏壇をきれいにする方法です。必要に応じて気になるところの追加修理や塗り直しなども可能で、コスト的には洗濯に比べると抑えることができます。

洗濯・洗浄について、詳しくはこちらをご覧ください > 「洗濯・洗浄」

 

以前のお仏壇

こちらがご相談いただいたお仏壇です。とても立派な浜壇ですが、かなり古くなっていました。状態を確認すると、木が傷んでいたり、金具が切れかけていたりと、お洗濯をしても修理が必要な箇所かたくさんあるようでした。お客様もそのことは感じておられたようで、修理をしたら費用がかかるのでは・・・と思われていました。

拝見したところ、やはり今回のお仏壇は「洗濯」「洗浄」のどちらもご予算以上の費用が掛かってしまうことが分かりました。そこで今回は、①お手持ちのお仏壇での洗濯・洗浄、②2種類の中古品の洗濯・洗浄、③新しい彦根仏壇に新調する場合のお見積りを作成してご提案しました。中古品の洗濯・洗浄は、ちょうど出物の中古品の浜壇があったので、それをきれいにしてご納品する形です。お客様は今のお仏壇を残すことにはこだわりをお持ちではなく、費用も抑えられるため、中古品を洗浄してご納品する方法をお選びになりました。

 

以前のお仏壇のご本尊と両脇です。こちらは、ご本尊のみ表装直しをして、両脇は新調されることになりました。

 

左から、花立・香炉・蝋燭立の三具足です。よいものでしたので、色付け加工をして残します。

 

こちらはお西の仏具の菊輪灯です。傷んでいるところを修理して、お磨き不要のセラミック加工を行います。

 

灯篭と隅瓔珞(すみようらく)は、修理するよりも交換した方が良いと判断して新調されることになりました。

 

解体前

こちらが当店にあった中古品の浜壇です。2種類あったので実際にご覧いただいて、こちらをお選びいただきました。

 

状態の良いものでした。中古品ですが十分にきれいです。

 

立派な欄間彫刻です。こちらは欅(けやき)の一枚彫で、ほこりなどを丁寧にとってきれいにします。

 

お仏壇内部です。解体前の確認のためにも細部のお写真を撮っておきます。

 

内部の彫刻も欅(けやき)で、材料も良いものを使われている良品のお仏壇です。確認が終わったら、まずは解体していきます。

解体洗浄

お仏壇の解体に入りました。上から順に丁寧に取り外していきます。

 

取り外した部品は釘を抜いて、取り付けられている金具もひとつひとつ取り外して分解します。

 

ほこりや汚れを丁寧にふき取ってきれいしています。こちらは上台輪と呼ばれるお仏壇上部の部品です。そのほかの細かい部品も丁寧に洗浄して、ほこりや油煙などの汚れを落とします。

 

木地直し仮組み

洗浄が終わったら仮組です。一旦組んでみて、木地の悪いところを確認して直します。

 

障子の枠は左右の幅がきつかったので、端を少し削って直しました。その後、塗りに入ります。

 

仏画修復

仏画修復前後

ご本尊の修復の様子です。上が修復前のもので、仏様が描かれている本紙を取り外してきれいに洗浄し、新しい表装を仕立て直しています。裂地は上金襴で、お西の紋が入ったものです。お仏壇に掛けたときに見えやすいよう、阿弥陀様の位置を上の方へ少し移動させました。お仏壇にあわせて掛け軸サイズも少し調整しています。

裏側は、もともとの「裏書」を表装し直した裏側に貼り付けました。「裏書」は掛け軸の裏側に書かれていて、表の仏様と表裏一体となるものとされており、表装直しの時はこの裏書も残して直すのが一般的な方法です。

ご納品

きれいになったお仏壇をご納品させていただきました。電気類はすべてLEDに交換し、ご本尊の上からスポットライトが照らしています。また、金具類はすべて金メッキをし直しました。新品のお仏壇と遜色のない美しさです。

 

修復したご本尊と、新調された両脇の仏画掛軸です。両脇は、表装は上金襴で本紙は半手描き画のものを新調されました。彫刻は、白木のものもきれいにホコリをとって洗っています。内部の両側面の板は金箔がはがれていたので、側板全体の金箔を押し直しました。

 

お手持ちの三具足は、色付け加工をして新品のようにきれいになりました。花立は紛失している箇所を補充しています。打敷はお手持ちのもので、花立が置いてある前卓(まえじょく)は、傷が入らないように一枚保護のための板を敷いています。また、奥に見えているご本尊手前の高欄もきれいに直しています。ここは、花の花粉などでどうしても汚れてしまう箇所です。

 

菊輪灯もお手持ちのものを修理してセラミック加工を行い、きれいになりました。灯篭と隅瓔珞は新調されたものです。金具類はすべて金メッキをし直して、お障子の紗(しゃ:貼っている網)も新しいものに貼り替えています。

 

おりんもお手持ちのものをセラミック加工しました。お座布団の右側にある御文章箱などは新調されています。

 

今回は、お年忌を節目としてお洗濯をお考えでした。以前のお仏壇は触るのも危ないくらい古くなり、お障子もあまり開け閉めできないくらいでしたので、これからは安心してお参りいただけるようになりました。お客様も、大変喜んでくださりご満足いただいた様子でした。このたびは、当店にお声かけいただきましてありがとうございました。お仏壇や仏具のことで何かございましたら、何なりとお気軽にご連絡ください。

お仏壇が古くなったとき、もちろん新調する方法もありますが、こうした修復や洗浄で費用を抑えつつ、大切なお仏壇を残していくこともできます。お仏壇は基本的に、次の世代、その次の世代へと受け継がれていくものですので、修理や洗濯で費用をかけてもそれだけの値打ちがあると考えています。ただご予算はお客様それぞれですので、「限られたご予算の中で、どれだけご満足いただけるか」を考えて、ご予算にあった方法をご提案し、その範囲内でもできる限り新品と遜色ない仕上がりになるよう、高い技術を持つ彦根の職人さんの力を借りながら、全体的な調整をしつつ進めています。お仏壇のお洗濯・洗浄をお考えの方がおられましたら、費用面、仕上がりなどご不明な点は遠慮なく何なりとお尋ねください。ご満足いただけるよう精一杯努めさせていただきます。まずはお気軽にご相談くださいませ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。