お手持ち仏像のサイズ調整等で、家具調仏壇へお買い替え。滋賀県大津市、浄土宗のお仏壇
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日本を代表する産地彦根で、こだわりの手造り仏壇を製造しております、井上仏壇の井上昌一と申します。
滋賀県大津市にお住まいのお客様より、家具調仏壇へお買い替えにともない、ご実家のお仏壇の仏像のサイズ調整等をさせていただきましたので、ご紹介いたします。
家具調仏壇 オーク 上置き 滋賀県大津市 浄土宗のお客様
大津市にお住まいのご夫妻様がご来店くださいました。お仏壇のお買い替えをご検討で、当店のホームページをご覧くださったようです。ご実家が同じ大津市内にあり、お母様が亡くなられたことを機にご実家のお仏壇を買い替えてご自宅へ移動したいとご希望でした。リビングに置ける家具調のお仏壇をご希望で、店内をご覧いただくと気に入っていただけるお仏壇が見つかったのですが、お客様から「実家の仏壇の仏像を祀りたい」とお話がありました。
こちらがご実家にあった古いお仏壇です。ご来店当日は大体のサイズを伺い、後日確認のためLINEでお写真を送っていただきました。お客様のご希望は、ずっとお祀りされてきた仏像と、お母様のお位牌を含む三つのお位牌をお祀りすることでした。
取り出して仏像本体もお写真を送っていただきました。サイズ7寸の阿弥陀如来像です。仏像のサイズは脚の先から白毫(眉間のお印)までを指し、それが7寸(約21cm)という大きさで、もとのお仏壇に対しても少し大きい部類に入る仏像でした。仏像の背後の光背もとても大きく、台座もかなり高さがあります。通常ならこの仏像が入るサイズのお仏壇に買い替えることも一案ですが、リビングに置く場所も決まっていてお仏壇サイズを大きくすることは難しいので、「どうしたらいいかな」とお困りでした。
まず、今回新しいお仏壇に仏像を安置するためには、仏像本体である仏身はそのままで、光背と台座を改造してサイズを調整する必要があります。そこで、①光背を重視する案、②台座を重視する案、③折衷案 の3通りのご提案を差し上げました。
光背を丈の短いものに交換して、台座を5㎝以内にカットする。
※簡単な敷板を製作して一番下に設置 ⇒ 採用
②台座重視
光背を取り外して、現在の台座をそのまま使用する。
※台座高12㎝+仏像(仏身)23㎝=35㎝
③折衷案
光背を仏像(仏身)の高さと同じくらいでカットして、カットした小口(厚み部分)を塗って金箔を貼る。
※現物を拝見して、うまくイメージ通りできるか確認が必要
高さは同じくらいに調整しますが、①は光背を新しいものに交換して台座をカット、②は台座はそのままですが光背はなくなります。③はその中間のような形です。それぞれご説明を差し上げて、最終的には①の光背を重視する案を採用いただきました。
光背や台座をカットして調整したのと同じ総高さの仏像を店舗で仮に置き、バランス等を確認します。事前にお客様にもご覧いただき、仏像の調整や修理に入りました。
仏像の調整・修理
まずは、光背を交換して台座をカットします。台座は仏身が乗っている蓮の花の台座のみを残して下はカット、その下に白木の六角形の敷板を置きました。台座は塗りや金箔のやり直しを行います。
光背はこのように、台座に差し込む形になっています。サイズが少し小さい既製のものに交換しました。差し込み場所の形状が違うので、調整が必要となりました。
ここまでの時点で、念のためにお仏壇に置いて高さなどを確認しました。
台座部分の塗り・金箔のやり直しまで終えたところです。仏様本体のほこりなどもこのとききれいに払っています。
また、確認すると仏様の両手中指が取れていました。お客様に伺うと修復してほしいとのことでしたので、木を継いで違和感のないよう補色して仕上げています。こちらは仏像を彫る仏師が担当します。
塗りや金箔、修理まですべて完了した仏像を、お仏壇に安置して最終確認をします。新しいお仏壇にぴったり収まっています。
家具調仏壇 オーク 上置き 巾545×高さ880mm
ご納品時のようすです。幅約54cm、高さも88cmあり、上置き仏壇としては少し大きいサイズです。もともとお持ちのローボードの上に置いてお祀りされるため奥行きも制限がありましたが、ぴったり収まっています。お位牌はお仏壇の完成までお客様が保管されていたのですが、ご納品時に少し金箔のはがれ等があったので修復することになり、当日お預かりしました。
【本尊】阿弥陀如来像 7.0(7寸)総金箔六角台座(お手持ち)
【両脇】掛軸 両大師(右:善導大師・左:法然上人)特上緞子仕立て
ご本尊はサイズ調整・修理をした阿弥陀如来像です。両脇は両大師(右:善導大師・左:法然上人)の掛け軸で、今回新調されています。本紙は絹本に手描きで表装も正絹特上緞子仕立てのとても良いものをお選びいただきました。また、6点セット(花立・火立・香炉・茶湯器・仏飯器・線香差し)は真鍮製で、貴船桜柄の彫金が入っています。色味は落ち着いたメタリックブラウンです。一番右側にある白く丸いものはおりんです。「kyu」という商品で、表面には蒔絵が入っています。
※彫金:金属に彫刻すること
手前にはご希望で経机をお付けしました。敷物やお座布団は同じ柄で統一しています。木魚は通常は楠(くす)材を使ったものをお付けしていますが、良いものにしたいとご希望でしたので、木魚には最高の材料と言われている桑(くわ)材を使用したものをご用意しました。その隣にあるのは鉦吾(しょうご)という仏具で、お手持ちのものです。
仏様の手前にあるのは過去帳で、この段の両側に修復が終わったお位牌を置く予定です。今回、お客様からは、お仏壇のお買い替えだけでなく、仏像や位牌の修復など様々なご相談をいただきました。お母様が亡くなってからご実家は空き家になっており、そのままにしておくのも忍びないと、「早く自宅へ移したい」と思われているお気持ちは感じておりましたので、このたび無事にお祀りすることができ、私どもも大変嬉しく思っております。これからも末永くお参りいただければ幸いです。何かお困りの際は、またお気軽にお声かけくださいませ。
今回は、お手持ちの仏像のサイズ調整等をして、新しいお仏壇に安置したケースをご紹介いたしました。近年、新しいお仏壇は小型のものも増えていますので、お手持ちの仏像や掛け軸などが希望するお仏壇に入らないというご相談は多いです。しかし、今回のように仏像のサイズを調整する以外にも、お仏壇の棚を外して仏像を入れる方法など、ケースに応じた対応でお手持ちの仏像をこれからもお祀りすることは可能です。ご家族でずっとお祀りされてきた仏像や掛け軸は、かけがえのない大切なものです。「無理かな?」と思われても、まずはお気軽にご相談くださいませ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。